「人間とは無益な受難である。」 ジャンポール・サルトル

「人間とは無益な受難である。」

ジャンポール・サルトル

受難と情熱は同じ綴り、passionである事は偶然なのだろうか。ユダヤ教の改革者としてのイエスの登場はかっこよかったけど……

「時計草の針」

神社にてバイト

神の声のバイト

賽銭もPASMO

ああ、いいなあ

この世もあの世も

人間が生きるためのものしかない

すごくこわくなる

洗うまで気づかなかった

沁みた傷に

そうか、となった

ぼくの両手に閉じ込めよう

結局、十字架に帰宅する

メガネ

生きれば生きるほど、生きやすくなりたい。

「世界は一本の指に絡められた糸かリボンで、窓辺で夢想している女性がそれで戯れている。」

フェルナンド・ペソア

「メガネ」

メガネが温度差で曇って見えなくなったら拭けばいいなんて

何度も繰り返して

汚れたら洗えばいいなんて

何度も繰り返して

成長すれば度が合わなくなるの

でもいつの間にか変わらないままで

大変困った

困った

いや、

困っている

変化は体の重さ、軽さだけで

そして、

寝る時、メガネを外して

「あんまり見えすぎない方がいいんだって」

とつぶやいた

次の朝、起きると顔がなくなっていた

焦ったけれど、全ての知覚はできるとのことで、

メガネをかける顔がなくなり、

とても喜びました私は

買ったままでいたワンピースを着て

外に出かけました

しわしわの赤ちゃん

なんだか僕らは焦っちゃうよね、疲れちゃうよね。

わざわざ作ってるのは未来だよね、思い出なんかじゃないよ

「しわしわの赤ちゃん」

排水口にへばった髪の毛たちは

みじめな音を鳴らしてもなお

へばっていた

私のマグカップは埃まみれで

暖かいコーヒーを注げば

それは浮かんだ

そんな大それたことじゃない

月が消えただけの早朝

最後に吐かれたひどいことばで

最後になっても

部屋に飲みかけのペットボトルがたくさんあって

どれが一番新しいものかわからない

閉鎖された田舎の残暑

じとりと流れる汗が

シャツに染みたままで

少女が窓の外からりんごを投げた

庭に埋めた時計草の花は

前よりも少し、

色が薄くなっていた

無 題

透明な袋に混じる黒ビニールに違和を感じ

それはたしか古い記憶

いや

トイレが似合う私は

いつも掃除当番だったな

月だと思って二度見した

下を向いて歩こう アフリカマイマイがいる

唯一の合法的な八重歯

これでさえも恥ずかしく

顎をさする湯気は

私よりも自由であるのだろうか

自己の確立とか

あそびたいとか、ペースを守りたいとか

そういう意味ではなく

死くらい主体があってもいいのに

親というリモコンが

私に赤外線を当てているのだが

やけに体温は生々しく

動く

動く

足の裏が汚れている

黒いのは

誰の

登場しなかったメモ

音楽会白い帽子のきみがいて声をかけずに一人肉まん 榊 吾郎

素晴らしい時を過ごした。軽めな気持ちで、重めな言葉を交わしたり、大好きなあの人の歌う歌と詩が目の前にあったり。

誰かや何かが憎くても、愛おしくても、それはいつかの自分だったり、これからの自分だったりするのかもしれないと思うと、下手な事はしたくねえなあって、愛してえなあと思い直した。 2月

水のなかのつぼみ 5月

野球坊縁側の隅蝉が鳴くしんと静まる華氏90度

私は欠けているものの集まりなんだ 去年

ある女の子の戯言

フェミニストは苦手だし、めんどくさいんだけど。

女であることで自己肯定感を獲れそう。

変人扱いはごめんであまり大きい声で言いにくいけど、女性器がついていることそれ自体がとても幸せである。こんなハイコントラストなものがついているなんて、世界を凌駕した気分になる。肉の地層をずっと見てきたような、神的な。天気を操るのは神しかできないけど、俺はできるぜみたいな。でけー母は海。


「お前がつけた狭くて大きなばつ」

ただいたずらで椅子を引いただけなのかもしれない

でも俺はずっとずっとずっとずっと

ポケットにいれたチョコは溶けた

弁当バッグ もちろん中指掛けて

そのまま車道に投げつけた

いつも言葉は嘘を孕んでいるから

詩を作りながらバカらしいバスの中

カラコンみたいな思い出も

カラコンみたいに剥がせられればいいのに

「建て直してくれてありがとう」私が所属できなかった演劇部

みんなクソだ 青色の丸をくれ